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楽天、シンガポールの「失敗」を越え、方向転換へ

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こんにちは、シンガポール特派員のRogerです。2016年2月中旬に、楽天がシンガポール、マレーシア、インドネシアにおける ECサイト事業を打ち切るとの衝撃的な発表を行いました。

楽天は、「日本のアマゾン」と揶揄されるほど、日本の最も巨大なECサイトを運営している企業です。(アマゾンは、皆様もご存じのように、アメリカでリテール革命を起こした企業です。)ただ、経済成長が著しい東南アジア、しかも客単価の高いシンガポールを含め、一体なぜ楽天は撤退を決めてしまったのでしょうか?

今回の記事は、シンガポールの激しい競争下にあるリテール環境を俯瞰しながら、楽天がシンガポールから事業を撤退させた理由を検討していきます。

今現在、シンガポールではeコマース(インターネットビジネス)市場は成長しています。 Euromonitorによると、シンガポールのオンライン・セールスは 2012年の SGD 8億から 2015年の SGD 13. 4億に増えました。たった 3年間で、シンガポールのオンライン・セールスはなぜ 60%も上昇したのでしょうか?

 

その答えは、モバイル・ショッピングの増加です。シンガポールでは、スマートフォン利用の爆発的な浸透を背景に、ほとんどどこでもインターネットにアクセスすることが出来ます。この二つ要素は、テクノロジー好きのシンガポール人にとって、日常生活に欠かせないものとなりました。スマートフォンの利用者と、使用時間に比例して、スマートフォンに関連するビジネスの可能性も広まります。 実際、Insideretail.sgは、オンライン・ショッピングするシンガポール人は 50%を超え、東南アジアで最も高い割合だと発表しています。

 

シンガポールで主要なECサイト( Qoo10, Lazada, Zalora, Carousell)は、こうしたトレンドに精通しています。独自のモバイル・アプリの PRを積極的に行い、様々なキャンペーンやプロモーションを活用して会員を獲得し、アプリを通じてアクティブユーザーに育てていきます。

 

しかしながら、市場の拡大という展望が見えながらも、楽天がシンガポール市場から撤退する理由はどこにあるのでしょうか?答えとして、「競争」、「経験価値」、「新しい方向」の三点が考えられます。

 

「競争」

リテール会社がシンガポールで事業をする上で最初に直面する壁は、競争です。オフラインでも、オンラインでも、一番タフな企業が生き残ります。

 

シンガポールでリテール事業を行っている企業は多くありますが、成功しているとみなされているのは 10社程度で、一般向けとニッチマーケット向けのものを含みます。 Euromonitorのリサーチによると、最も成功しているのは、マーケット・シェア 14%を持つ Qoo10です。商品が安く、品揃えも幅広く、更にはシンガポール人に好まれるオフラインとオンラインの両者での支払方法を提供しています。加えて、「タイム・セールス」や、「グループ・バイ」(家族や友達とまとめて購入することで割引される中華圏特有のシステムです。)といったセールを売りとした PR戦略も積極的に行っています。

 

では、楽天はシンガポールでどのようなポジションを確立していたでしょうか? SimilarWebが、 Qoo10(シンガポールの B2Cリーダー)と、 Carousell(シンガポールの C2Cニュー・スター)と、楽天の訪問者比較を行っていました。楽天は、アマゾンやアリババと並んで考えられている企業ですが、訪問者数の比較でまさかこれだけの差が表れるとは私自身も予想していませんでした。

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意外かもしれませんが、楽天、アマゾン、アリババは、シンガポールでは存在感はそあまりありません。アマゾンとアリババのページ・ビューもシンガポールではトップではありません。この状況から分かるのは、中小企業やベンチャー企業であっても、自分の強みを活かしたサービスを提供すれば、世界的な三大企業にさえも、シンガポール市場で勝つことが出来るのです。Carousellはその勝者の一つであり、 2015年 9月からわずか4カ月でウェブ・トラフィックが二倍になりました。

 

競争以外の壁もあります。楽天シンガポールが提供するカスタマー・サービスを見てみましょう。

 

 

「オンライン・ショッピング体感管理」

楽天シンガポールが直面した壁の一つは、ウェブサイトのカスタマー・サービスの管理です。楽天のカスタマー・サービスに関して、ユーザーから寄せられたフィードバックの主な内容は、「商品のサーチがむずかしい」、「 Eメールの確認がややこしい」、「サイト・デザインがよくない」です。

 

しかし、それだけでは、大きな壁にならないと思います。( Qoo10のサイト・デザインもトップではありませんから。)恐らく、楽天シンガポールの最大な壁は、「口コミなし」です。シンガポール人にとって口コミは買い物する時に、不可欠です。何か買いたい時、特に高いものや、自分がこだわっている製品など、シンガポール人はサーチエンジンを使って、色々なサイトから商品のレビューを読んで、比較します。 Qoo10では商品をレビューできますし、 Carousellでは買う側と売る側の両者が互いにレビューできます。対し、楽天シンガポールのウェブサイトはこうした重要な機能がありませんでした。

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「楽天はこのまま東南アジアマーケットから離れてしまうのか?」

楽天がシンガポール、マレーシア、インドネシアの ECサイト事業から撤退することは、このまま東南アジアマーケットを諦めてしまうことでは必ずしもありません。

 

楽天は、「この度の『撤退』は、新たなロードマップに沿う決定であり、『ラクマ』というスマートフォンアプリをベースとしたC2Cサービス導入に根差したものです」と発表しています。楽天の語る新たなロードマップは、おそらく、CarousellのようなC2Cマーケットでの成功に依拠し、これまでのコア・ビジネスを離れて、C2Cへの転換を意味しているのではないでしょうか。しかしながら、EC事業をストップすることで、「ラクマ」に人事を再配置するのではなく、150人の解雇を行います。この事実は、「ラクマ」の成功に楽天自身が自信を持てていないことを意味するのではないでしょうか。

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一方で、楽天もリサーチに努めています。シンガポールの楽天技術研究所を拠点として、モバイルとソーシャル・イノベーションをリサーチしています。その上で、楽天は近年ViberやVikiといった企業を買収して、東南アジアにおける事業を一歩一歩整えています。

 

(アジアクリック・シンガポール特派員/ロジャー)

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